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海外生活21年。国際結婚19年。母親15年。西オーストラリア州のパースに8年。リンクフリーです。


by ellie6152
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パースの水事情

今年も、冬だというのにちっとも雨が降らない。

庭の散水も週に2回決められた時間帯だけに規制され、住所の番号によりその散水日が決められている。
決められた散水日以外に散水していたり、散水時間が規定よりも長い場合は、近所の人たちからの白い目に晒されるし、友好的なご近所付き合いを保っていない家など通報されかねない。
植物や芝生を枯らさないようにするが難しくなってきた。

例外なのは井戸のある家!

パースの街は豊潤な地下水脈の上に立っている。

以前わが家でも井戸を掘ってもらったことがある。
お隣の93歳の一人暮らしのお爺さんが、パースの井戸掘りのパイオニアだったそうだが既に引退され、結局ご近所に住む井戸掘り名人おじさん(なぜかサラリーマン風)にお願いした。

名人「どこらへんに井戸が欲しいですか?」
わたし「えーっと、・・・ここらへん?」
名人「はい、わかりました」

ええーっ!!こんなに簡単に水って出てくるの?
わたしの脳裏には、前庭の芝の下にゴォーッと音を立てて怒涛のよう流れる地下水脈。
(実際には地下水は年間平均100m位しか動かない)

後日名人は機材をたくさん積んだトラックと共に現われ、井戸掘り開始。
海苔缶大の鉄でできた筒を地中にねじ込んでゆき、それが地面から見えなくなる前に次々と筒を直結させ足してゆく方式だ。
場所と立地条件にもよるが、10メートルくらい掘ればよいそうだ。

掘り進めて行くうちに水が出てきた。
名人は穴の横に椅子を置き、くみ出したどろ水を網で掬い、定期的に成分を確認していた。
業者というよりも科学者のようだ。
この水の成分や不純物などを見て、その先どのくらい掘れば最適な水質にたどり着くかが分かる。
水に混じっている砂とか石とか泥によって「なんとか層」に分けられ、その下に豊潤な地下水があるからなのだろう。
次第に不純物も少なくなり、透明な水になる。

ただ名人と言われてるのにこの人、その商売道具である鉄の筒を地下に落としたと言って血相変えて友人に電話していた。
わたしの脳裏には鉄筒が、地下水の上をどんぶらこと浮き流される図が・・・・。
成仏できない浮遊霊のごとく、地下を彷徨うことになるのか?
一体どうなるのだろうと思っていたら、すぐにクレーン車みたいなどデカイ代物がわが家の前に停まり、地下に落ちた鉄筒を引っ張りだした(のだと思う)。
レスキーュー大成功。
しかし、いったいどうやって引き上げたのだろうか・・・・? 謎だ。

こうして出来上がった井戸は、つるはしの先にバケツが付いている形や、汲みポンプがついた田舎の祖父母の家に昔あった懐かしい形ではなく、ちんまりとした蛇口みたいなものが25センチ平方の芝生と同じ色の蓋をして地面に埋め込まれているので、井戸という概念からはほど遠い。
これが庭の自動散水機に土中で繋がれ、セットしてあるタイマーにしたがって勝手に水遣りを完了してくれるのだ。

ちなみに飲料水や家庭用水には適さない(水質汚染のため)。
使用量は無料。
埋め込まれた地下から水を汲み上げるポンプの電気代のみ。
とても経済的なのである。
by ellie6152 | 2007-05-16 23:55 | パース